外注リサーチャーT君 2015/04/28の出来事
今日、T君から夜の9時過ぎに突然、電話がありました。
彼は、泣いていました。
彼との付き合いは、かれこれ10年以上になります。
彼が18歳の時に、生まれ育った岩手を離れて
出稼ぎを希望する大人達と一緒に関東へ引っ越して来たんです。
その時の職業斡旋を担当したのが、彼と出会いでした。
年の割に礼儀正しく、敬語の使い方も良く出来ている好青年で
私は、初対面の時から好感を持ちました。
見た目は、田舎のヤンキー風でしたが。(笑)
そんな、彼との付き合いは
斡旋したメーカーへの採用が決まった後も続きました。
田舎から18歳で出てきたので、車の免許も持っておらず
病弱で、直ぐに風邪をひいて寝込むし
精神的にも不安定で、うつ状態が悪化するとリストカットをしたり
本当に手のかかるヤツだったんです。
でも何故か、放っておけなかったんですよね。
風邪を引けば差し入れを持ってアパートへ行ったり
リストカットをしたと聞けば、止血をしに行ったり
そんな彼も私を兄のように慕ってくれていました。
時は経ち、彼は結婚をして
2人の子供を持つ父親になりました。
しかし、家族を持ったと言っても そんな健康状態、精神状態ですから
まともに仕事ができるはずもなく、数ヶ月から半年くらいの
長期休職を何度も繰り返していました。
幸いにも、彼の会社は労働組合が非常に強い会社でしたから
クビにはならずに、ごまかしながらきました。
そんな収入の不安定な彼に、
この私の出会ったビジネスモデルなら
工夫次第で在宅で出来るリサーチの仕事を提供できる!
そう確信し、この仕事に出会った2週目にはマニュアルを作り、
直ぐに彼に教えに行きました。
ちなみに、彼は収入が少なくパソコンを持っていなかったので、
スマホだけで出来るリサーチマニュアルを作りました。
そして、まともに出勤できない日が多い不安定な状態の中
彼なりに、リサーチを頑張ってくれたのです。
奥さんも子供もいますから、養うためには働くしかありません。
しかし、うつ状態が酷く会社へ行けないのです。
そんな自責の念に駆られながら思い悩んでいた彼には
布団から起き上がれなくてもスマホで出来る もってこいの仕事でした。
しかし、今日 突然 泣きながら彼から電話があったのです。
うつ状態が悪化しており、担当医から緊急入院を言い渡されたと
投薬だけでの治療は、もう限界らしく
直接、脳に電極を当て電気を流す治療法をやると言われたそうです。
万が一の場合、記憶を失う可能性もあるそうで
家族の同意書も取らされたそうです。
もう何も言えませんでした。
彼の涙声の訴えを ただただ聞くだけしか できませんでした。
そして、分かったとしか、言えませんでした。
そんな未来の見えない 絶望的な状況の彼が
私に、こう言ったのです
『リサーチの仕事が、入院中はできなくなるかも知れません。
治療の合間を縫って、少しでもやりますから。
本当にいつも迷惑をかけて、すいません。
仕事のお手伝いが、出来なくて本当に申し訳ございません。』
彼は、少しでも私の役に立ちたくて仕事をしてくれていたのです。
お金のためではなく…。
いつ退院できるかも分からない、
隔離病棟に入れられてしまうかも分からない、
脳への電気治療により記憶を失ってしまうかも分からない、
そんな大変な時に、
起業したばかりの 私の心配をしてくれていたのです。
私は、自分を偽善者だと知っています。
周りから、どう見られるのか
そんな事を考えて行動することもあります。
でも、何もしない善人よりも
困っている人に手を差し伸べることができる偽善者に私はなりたい。
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